ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サン=シモン」の意味・わかりやすい解説
サン=シモン
Saint-Simon, Claude-Henri de Rouvroy, Comte de
[没]1825.5.19. パリ
フランスのユートピア社会主義者。『回想録』の著者サン=シモン公の甥の子。アメリカ独立戦争に参加し,恐怖政治期はリュクサンブール宮殿に監禁されたが,1793年釈放。 1803年『一ジュネーブ住民の書簡』 Lettres d'un habitant de Genève à ses contemporainsをスタール夫人に献じ求婚したが失敗,日夜を分たぬ浪費で,やがて貧困の境涯に転落した。 23年自殺を企て,『新キリスト教論』 Nouveau Christianisme (1825) の執筆を最後に失意のうちに没した。サン=シモンの歴史観は社会進化の要因を,観念または思想の変化に求める精神史観と,経済に求める経済史観の二元論から成り,フランスの歴史を非産業階級に対する生産的,産業的階級の対立の歴史とみなし,産業階級を社会第1階級とする理想社会 (産業制社会) の成立を強調し,当時の産業革命の進行と工業化社会の将来を予測した。その思想は弟子の B.アンファンタン,M.シュバリエらによってサン=シモン主義として伝えられ,特に第二帝政の資本家や銀行家の理論的支柱となった。主著『産業体制論』 Système industriel (20~22) 。
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