サンガ(英語表記)saṃgha

デジタル大辞泉 「サンガ」の意味・読み・例文・類語

サンガ(Sanga)

京都サンガF.C.

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改訂新版 世界大百科事典 「サンガ」の意味・わかりやすい解説

サンガ
saṃgha

〈集団〉〈群〉〈組合〉などを意味するサンスクリット語。政治史の上では古代インドの部族共和制国家の呼称として用いられる。部族共和制国家とは,専制王をもたず,部族集会で選出された首長や代表者に行政権がゆだねられる国家をいう。同じく集団を意味するガナgaṇaの名でも呼ばれ,英語ではリパブリックrepublicと訳される。仏教成立時代のリッチャビ族や釈迦(シャーキヤ)族の国家は,この種の国家を代表するものである。仏典の伝えるところによると,リッチャビ族の部族集会にはラージャ王族)の称号をもつ7707人が参加したという。部族共和制国家は,ブッダ時代以後,マガダ国など君主制を発達させた強国につぎつぎに滅ぼされた。なお,サンガという語は経済的には商人や職人の〈組合〉を意味する。また仏教ではこの語を〈教団〉の意味に用い,漢訳仏典では〈僧伽そうぎや)〉と音写される。三宝の一つ〈〉はその略である。
執筆者: スリランカ系の上座部仏教が広まった東南アジアでは,もっぱら出家者教団のみをサンガと呼び,在家者はこれに含めないのが普通である。パーリ律227戒を守るビク(比丘)と,20歳未満で10戒のみを守るサーマネーラ沙弥)をその成員とする。サンガは,ただ1人の首長(サンガラージャ)によって統轄される全国規模の統一組織である場合(タイ),複数の自立的出家教団(ニカーヤ)が並列的に存在し,それらを統一する上部機構としてのサンガ組織を欠く場合(現在のスリランカ,ミャンマーなど)など,その存在形態は一様でない。サンガの地位についても,〈サンガ法〉という国家法によりその法的資格が明示的に規定されている場合(タイ,ラオスなど)もあれば,そうでない場合もある。上座部仏教にとってサンガは不可欠の存在であり,サンガを欠いて仏教はなく,在家仏教もまたサンガの存在を前提として初めて成立するのである。
執筆者:

サンガ (桑哥
)
Sanga
生没年:?-1291

中国,元初の財政家。西域人。センゲSenggeとも表記される。諸国言語に通じ,ラマ僧として贍巴(ダムパ)国師の弟子となり,西蕃訳史に任ぜられた。世祖フビライの信頼厚く,総制院使から尚書省の長官となって,徴税体制の強化,紙幣制度の改革,海運体制の強化など財政的手腕をふるった。彼の財政政策は,南北中国を統一した元朝の政治体制を確立するうえで重要な位置を占めた。しかし西域人を多く抜擢して私党をつくり政治を独占したため,1291年(至元28)姦臣として弾劾されて失脚し,処刑された。
執筆者:

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「サンガ」の解説

サンガ
saṃgha 僧伽(そうぎゃ)

衆(しゅう),和合衆(わごうしゅう)とも意訳される。仏教で信仰の対象として敬われる三宝(さんぼう),すなわち,仏(ほとけ)と法(ほとけの教え)と僧(ほとけに従う弟子たちの集団)の一つ。インドで古く商工業者たちの組合団体を意味したサンガの語が仏教教団をさす名称となった。伝統的には,仏法を信じ,仏道を実践する,少なくとも4人以上で構成される,男子出家集団(比丘(びく)僧伽)や女性出家集団(比丘尼(びくに)僧伽)が厳密な意味での「サンガ(僧伽)」であり,男女在家(ざいけ)信者を含む教団全体「パリシャド(四衆)」と区別されてきたが,明治以後の日本では,在俗の男女信者を含んだ仏教集団全体も「僧伽」と呼ばれるようになっている。後世になって中国,日本で出家した個人男子を,元来は僧伽の略語である「僧」とか「僧侶」の呼称で呼ぶようになる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンガ」の意味・わかりやすい解説

サンガ

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世界大百科事典(旧版)内のサンガの言及

【僧】より

…とくに男性を僧とよぶのに対し,女性は(あま)とよび,あわせて僧尼ともいう。〈僧〉とはサンスクリットのサンガsaṃghaに対する音写語で,僧伽(そうぎや)とも書き,衆,和合衆と訳す。サンガは元来,集団,共同体の意味で,修行者の集り,教団を指すが,中国では転じて個々の修行者を僧とよぶにいたった(その複数形をあらわす僧侶もまた,日本では個人を指す語に転化した)。…

【僧】より

…とくに男性を僧とよぶのに対し,女性は(あま)とよび,あわせて僧尼ともいう。〈僧〉とはサンスクリットのサンガsaṃghaに対する音写語で,僧伽(そうぎや)とも書き,衆,和合衆と訳す。サンガは元来,集団,共同体の意味で,修行者の集り,教団を指すが,中国では転じて個々の修行者を僧とよぶにいたった(その複数形をあらわす僧侶もまた,日本では個人を指す語に転化した)。…

【タイ】より

…みずから僧として出家すること,あるいは息子を僧として出家させることもまた大きな〈ブン〉を生む〈タンブン〉であるとされている。〈タンブン〉は出家者の教団でありタイ仏教の中核をなすサンガの持続的発展に貢献する行為である。文字どおりの出家者であり,いっさいの生産活動にかかわりをもたないタイの僧とそのサンガが,今日もなお衰退から免れているのは,このように,在家者がみずからの〈ブン〉を増すために行う〈タンブン〉が,結果として出家者とそのサンガの物質的存在を支えているからである。…

【大乗仏教】より

…悟りを求める者)を理想的な人間像とみなし,またこの運動に邁進する者を,老若男女を問わず,〈菩薩〉と呼んだ。その信仰集団は,在来の出家者中心の教団である〈僧伽〉(サンガsaṅgha)に対して,〈菩薩ガナ〉(ボーディサットバ・ガナbodhisattva‐gaṇa)と呼ばれる。 彼らはやがて,自らの思想を表明する手段として,新しい経典を次々と作り出していった。…

【東南アジア】より

…いずれもスリランカで成立,発展した大寺派(マハービハーラ派)の流れを引き,パーリ語で書かれた三蔵経を護持している。上座部仏教の中核はサンガである。サンガとは,いっさいの世俗的労働から解放され,パーリ聖典に書かれた戒律を厳守して,修行に専心する僧侶によって形成される出家者教団である。…

【仏教】より

…その後,ワーラーナシー郊外のサールナート(鹿野苑(ろくやおん))において,もと修行仲間だった5人の修行者を相手に,自ら悟った真理(法)を説き,弟子とした(初転法輪(しよてんぼうりん))。これによって仏(教主)・法(仏の教え)・僧(サンガすなわち弟子たちの集団)の三宝がそろい,仏教が成立した。以後,250人の弟子を連れるシャーリプトラ(舎利弗(しやりほつ))とマハーマウドガリヤーヤナ(大目犍連(だいもくけんれん)。…

※「サンガ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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