サンゴ海海戦(読み)さんごかいかいせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンゴ海海戦」の意味・わかりやすい解説

サンゴ海海戦
さんごかいかいせん

太平洋戦争中、日米両海軍の間で戦われた最初の空母どうしの戦闘。太平洋戦争初頭の勝利によって第一段階の作戦を終えた日本軍は、引き続き第二段階の作戦としてニューギニアのポート・モレスビー攻略を企図した。この上陸部隊支援のためにサンゴ海に出撃した日本機動部隊は、1942年(昭和17)5月7日から8日にかけてアメリカ機動部隊と遭遇して激烈な航空戦を展開したが、この戦闘がサンゴ海海戦とよばれる。日本機動部隊は正規空母2隻(瑞鶴(ずいかく)、翔鶴(しょうかく))、小型空母1隻(祥鳳(しょうほう))を、アメリカ機動部隊は正規空母2隻(ヨークタウンレキシントン)を基幹として編成され、艦載機による激しい戦闘の結果、日本側は祥鳳沈没、翔鶴大破、アメリカ側はレキシントン沈没、ヨークタウン大破という損害を被った。戦術的には日本軍の勝利ともいいうる戦闘であったが、少なからぬ損害を出した日本軍は、ポート・モレスビー攻略戦の延期を余儀なくされた。

吉田 裕]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンゴ海海戦」の意味・わかりやすい解説

サンゴ海海戦
サンゴかいかいせん
Battle of Coral Sea

太平洋戦争中の 1942年5月4~8日,ポートモレスビー攻略に向う輸送船団を支援していた日本機動部隊とアメリカ機動部隊がサンゴ海上で戦った空・海戦。航空母艦 (空母) 部隊同士が戦った史上初の海戦。日本側は7日,アメリカ機動部隊の空襲によって空母『祥鳳』を失った。8日には日本側の『翔鶴』と『瑞鶴』の2隻の空母がアメリカの空母『レキシントン』『ヨークタウン』と戦い,『翔鶴』が中破,『レキシントン』が沈没し,『ヨークタウン』は中破した。この結果,日本艦隊の司令長官井上成美中将は一時帰投を命じ,のち攻撃に転じたが捕捉できなかった。ポートモレスビー攻略作戦はミッドウェー作戦の関係上中止されたので,戦術的には日本の勝利だが,アメリカは戦略的勝利を得たとされている。

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