サンボ(人種)(読み)さんぼ

世界大百科事典(旧版)内のサンボ(人種)の言及

【アフロ・アメリカ文化】より

…それは,主として北東ブラジル,ギアナ地域,カリブ海地域にみられるアフロ・アメリカ社会が〈混血社会〉であることの反映である。つまりここでは人種間の混血現象が北アメリカと異なって日常茶飯事であり,たとえば白人と黒人との混血によってムラート,マメルコ,またインディオと黒人との混血によってサンボ,マルーンなどの混血人種が生まれている。そして文化面でも,スペインやポルトガルの文化とアフリカの文化との交流,接触,混合によって,西欧的でもなくアフリカ的でもない,新しい異質の文化が形成されることになったのである。…

【混血】より

…優秀白人人種と劣等人種とされた人々(先住民インディオ)の間に生まれた混血は,ムラートメスティソなどと呼ばれた。また黒人と先住民との混血はサンボなどと呼ばれ,いずれも社会的には両者の中間に置かれ,多かれ少なかれ差別されている。 しかし,第2次世界大戦後,人種主義が否定され,ユネスコなどにより純粋種概念の無意味さが論じられると,むしろ混血は人種間あるいは民族間の同化の度合いを測る指標として利用されはじめ,国際結婚,異文化間婚姻なども推奨もされはじめた。…

【メスティソ】より

…しかし,時代が下るにつれ人口も増え,社会的地位も安定し,植民地時代における平均的地位は,次のように各種の人種の中間に位置した。高いほうから列挙すると,(1)ペニンスラール(イベリア半島人=スペイン人),(2)クリオーリョ(新大陸生れの白人,クレオール),(3)メスティソ,(4)ムラート,サンボ(インディオと黒人の混血),自由身分の黒人,(5)奴隷(黒人,ユダヤ人,イスラム教徒),(6)インディオ,の順であった。時代が進むにつれ,ペニンスラールはクリオーリョに凌駕(りようが)され,19世紀初頭に諸国で起こった対スペイン独立運動は,クリオーリョを主力として推進された。…

【ラテン・アメリカ】より


[旧イギリス領アメリカとの違い]
 ラテン・アメリカの名が示すように,基本的にはスペイン,ポルトガルによって代表されるラテン系ヨーロッパ文化がこの地域の文化的骨格をかたちづくっているが,コロンブス到着以前に長い歴史的展開を示した先住民文化や,16世紀以後奴隷として連れて来られたアフリカ人の文化も,それぞれの地域の文化に強烈な特色を与えている。同じくヨーロッパ人,先住民,アフリカ人によって人口構成の基礎がつくられたアメリカ合衆国の場合は,各民族集団間の隔離が特色であったのに対し,ラテン・アメリカでは,3者間に非常な血の混合が起こり,メスティソ(白人と先住民の混血),ムラート(白人と黒人の混血),サンボ(先住民と黒人の混血)などの集団が多数発生して,社会的に重要な意味をもっている点が注目される。先住民についていえば,アメリカ合衆国やカナダの狩猟民や小規模な農民社会と違い,アステカ,マヤ,インカなどの文明地帯には,安定した農村社会と密集した人口があり,また金銀などの鉱物資源が早くから発見されたため,スペイン人の征服後,彼らの労働力徴発による生産体系が急速に成立した。…

※「サンボ(人種)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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