サイレント映画の最後の頂点を示す作品として映画史に記録されるF.W.ムルナウ監督による1927年製作のアメリカ映画。原作はH.ズーデルマンの《ティルジットへの旅》(1917)。1920年ころからドイツ映画がアメリカでもてはやされ,ドイツの映画人が次々にハリウッドへ招かれて〈アメリカ映画の芸術化〉に寄与したが,ムルナウも《最後の人》(1924)でフォックス映画社のW.フォックスに注目されて招かれ,アメリカ映画を撮ることになった。都会と田舎にまたがる愛情の三角関係を描いた物語を,当時としては異例の,市街電車が走るオープンセットを建て,字幕を極度に排除して視覚的表現を重視した象徴的な手法で映画化。自然光に近いライティング(照明)を計算したC.ロッシャー(1885-1974)のカメラワーク,とくに流麗な移動撮影が高く評価され,第1回アカデミー賞の撮影賞を受賞した。1927年9月23日,ムッソリーニのアメリカ国民へのメッセージを伝える最初のトーキーのニュース映画〈フォックス・ムービートーン・ニュース〉1巻をそえて封切られたが,その13日後,アル・ジョルスン主演の《ジャズ・シンガー》がニューヨークで特別公開されて,映画はトーキーの時代を迎えることになる。《サンライズ》も翌28年にはサウンド版がつくられて再公開された。
執筆者:柏倉 昌美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…次いで,《最後の人》(1924)は,〈文学からの借りもの〉である会話や説明の字幕をいっさい排除し,カメラを自由奔放に駆使して〈視覚的なことば〉で全編をつづった画期的な作品となった。しかし,つづく《タルチュフ》(1925)と《ファウスト》(1926)が興行的に失敗し,27年,ウィリアム・フォックスの招きでハリウッドに渡り(アメリカでは《最後の人》がサイレント映画の最高傑作と評価され,ヒットしていた),ドイツ時代からの協力者であるカール・マイヤーの脚本とフォックスの財政的な支持を得,大がかりなセットだけで,移動撮影による映像美が映画史上の語り草になっているサイレント映画の最高峰の一つ《サンライズ》(1927)をつくった。ハリウッドにおける第4作《タブウ》(1931)は,ドキュメンタリー作家ロバート・フラハティとの共同で始まったトーキー作品だが,南太平洋の島民を描く方法をめぐって個性的な2人の意見が衝突し,結局,ムルナウ作品として完成した。…
※「サンライズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加