日本大百科全書(ニッポニカ) 「サン・カンタン」の意味・わかりやすい解説
サン・カンタン
さんかんたん
Saint-Quentin
フランス北部、エーヌ県の都市。人口5万9066(1999)。パリ北東161キロメートル、ソンム川とナポレオン1世時代に完成したサン・カンタン運河に臨む。道路、鉄道、水路網の要衝にあるため古くから繊維工業が発達し、機械、電気、化学などの近代工業がこれに加わった。ゴシック建築の大僧院教会(13~15世紀)は、二つの翼廊が二重の側廊によって分かれ、後陣回廊の外を五つの礼拝堂が囲むなど、建築構造上特異なことで有名。画家ラ・トゥールの生地で、当地に美術学校を創設し、彼のパステル画のコレクションを所蔵する美術館がある。3世紀の殉教者聖カンタンの墓所があり、巡礼地としても知られる。1557年スペインに占領され、第一次世界大戦中はドイツの占領下にあった。
[高橋伸夫]
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