シトクロム

化学辞典 第2版 「シトクロム」の解説

シトクロム
シトクロム
cytochrome

ヘムタンパク質一種ヘム鉄の二価と三価との可逆的な価数変化により電子伝達作用を営む.すべての好気性生物に分布し,高等生物では主としてミトコンドリア内に存在する.ミトコンドリアのシトクロムには5種類が知られ,還元型の可視部吸収帯の位置からシトクロムaa3bcc1 と名づけられている.これらのシトクロムはそれぞれ固有の酸化還元電位を有し,電子を下式に示すように補酵素Qから最終的に酵素分子へ渡し,水とする.このとき,シトクロムbc1,シトクロムaa3 のところで酸化的リン酸系と共役してアデノシン5′-三リン酸(ATP)が生成される.これらのほかに,小胞体(endoplasmic reticulum)にはほかの型のシトクロム(シトクロム b5)が存在する.なお,シトクロムaa3シトクロムオキシダーゼと称される.[CAS 9007-43-6]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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