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ドイツの有機化学者,高分子化学者。新カント学派の哲学者フランツ・シュタウディンガーFranz Staudinger(1849-1921)の息子。ウォルムスに生まれ,1903年ハレ大学で学位を得,チューリヒのスイス連邦工科大学(1912-26),フライブルク大学(1926-51)の化学教授を歴任,51年高分子研究所長となった。はじめにケテン類の研究で名をなし,次いで行ったイソプレン研究から重合物の構造に関心を深め,1920年ゴム,ポリスチレンなどのポリマーが鎖状の大分子からなると発表,2年後にこれを〈巨大分子Makromolekül〉と名づけた。彼の説は当時支配的だった〈会合体説〉の支持者に反対されたが,論争の末30年代に学界に受け入れられるに至った。《高分子有機化合物》(1932)をはじめとする一連の書物と多数の論文を著し,専門誌《巨大分子化学》(1945-)を刊行するなど高分子化学成立への道を開き,53年ノーベル化学賞を受賞した。
執筆者:古川 安
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ドイツの有機化学者,高分子化学者.新カント派哲学者の父F. Staudingerの次男として生まれる.1903年ハレ大学で学位を取得.シュトラスブルク大学の助手時代にケテンを発見し,有機化学者としての地歩を固め,1907年カールスルーエ工科大学員外教授となる.1912年スイスのチューリヒ連邦工科大学の教授となり,合成ゴムに関心をもつようになる.1926年フライブルク大学教授となる.1920年以降,一連の論文で,ゴム,セルロース,プラスチック,タンパク質などが巨大分子(Makromolekül) (高分子)からなり,ポリマーに特有な物性が分子の大きさや形状に由来することを主張した.また,ポリマーの希薄溶液の粘度と分子量の関係を式で表した.当時,ポリマーは小分子の会合体と考えられていたため,高分子説は当初,学界で強い反対を受けたが,1930年代後半までに広く受容された.高分子化学の創始者として,1953年ノーベル化学賞を受賞した.
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