日本大百科全書(ニッポニカ) 「ショウロ」の意味・わかりやすい解説
ショウロ
しょうろ / 松露
[学] Rhizopogon rubescens Tul.
担子菌類、ショウロ目ショウロ科の食用キノコ。地下生で、海岸の松林の砂地に浅く埋もれて発生する。キノコは扁球(へんきゅう)形から塊状で径2~4センチメートル、若いときは白色を示すが、触ると赤くなり、表面には根に似た菌糸束がまといつく。成熟すると黄褐色から暗褐色となる。内部は弾力のある白い肉質からなり、その中に微小で不規則な形をした室が無数にある。室の内面には子実層が発達して胞子をつくる。ショウロはアカマツ、クロマツの根に菌根をつくり、宿主と助け合いながら共生生活をする。本来は北半球の温帯以北に広く分布する種であるが、最近では南半球にもマツが植えられるようになったため、南半球でもショウロの仲間の発生がみられる。日本では昔から食用にされ、その香りと歯切れのよさで珍重される。調理には、和(あ)え物、煮物、揚げ物などのほか、吸い物の実などがあり、粕(かす)漬けにすると歯切れよく、美味である。若くて新鮮なショウロを米松露とか餅(もち)松露といって貴び、やや熟して黄褐色になったものを麦(むぎ)松露とか粟(あわ)松露とよぶ。なお、トリュフの名で高級料理に用いられるキノコは、セイヨウショウロ(子嚢(しのう)菌類の地下生キノコ)で、本種とはまったく別である。
[今関六也]