ショック療法(読み)ショックリョウホウ(英語表記)shock therapy

翻訳|shock therapy

デジタル大辞泉 「ショック療法」の意味・読み・例文・類語

ショック‐りょうほう〔‐レウハフ〕【ショック療法】

shock therapy
精神障害の治療法の一種統合失調症鬱病うつびょう患者に対し、ある種の衝撃ないし身体的ストレスを与えることによって症状緩解をはかる方法。現在では使用頻度は減少しつつある。
(比喩的に)無気力な、沈滞した状況にある人に強い刺激を与えて奮起させ、活力を取り戻させる方策をいう。「残業禁止というショック療法で能率向上を図る」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ショック療法」の意味・わかりやすい解説

ショック療法 (ショックりょうほう)
shock therapy

生体に強い衝撃(ショック)を与えることにより精神病の症状を改善しようとする治療手段。古くは滝に打たれることや冷水につけることも行われた。19世紀には灌水療法といって鉄製の籠の中に患者を入れて頭から冷水をかけることも行われた。1933年にザーケルM.J.Sakelによってインシュリン・ショック療法が創始された。インシュリンを皮下または筋肉内に注射し,低血糖昏睡を生じさせることを反復すると,統合失調症の症状が改善されることが明らかにされ,精神病の身体的治療法として画期的なものとされた。その後,カルジアゾール・ショック療法がメズーナL.I.von Medunaにより創始された。これはカルジアゾールを静脈内に注入して,痙攣けいれん発作を起こさせるものであった。やがて電気ショック療法がより有効であるとされるに至った。しかし,精神病の向精神薬療法が精神病治療に普及するに及び,適応範囲がきわめて狭められてきている。
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