改訂新版 世界大百科事典 「シルダー」の意味・わかりやすい解説
シルダー
Paul Ferdinand Schilder
生没年:1886-1940
オーストリアの精神医学者。ウィーン大学に学び,哲学に強い関心をもって,フッサールやS.フロイトの影響を受ける一方で,器質的疾患の研究にも携わり,神経病学と精神医学を結合しようと試みた。汎発性軸索周囲性脳炎(シルダー病)の記述によって,国際的に知られるようになった。業績は,進行麻痺などの器質的疾患や,統合失調症などの精神病の現象学的・精神分析的研究,神経学や心理学の未開拓分野を研究した《医学的心理学》(1913),離人症の現象学的研究《自我意識と人格意識》(1918),身体像の役割を研究した《人間身体の心像と現象》(1935)など多岐にわたる。1928年,A.マイヤーの招きで渡米,以後はアメリカで活躍した。
執筆者:馬場 謙一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報