シルミウム(英語表記)Sirmium

改訂新版 世界大百科事典 「シルミウム」の意味・わかりやすい解説

シルミウム
Sirmium

ドナウ川支流沿いのパンノニアの古代都市。現,ユーゴスラビアのミトロビツァMitrovicaの近郊に位置した。大プリニウスの《博物誌》に現れるアマンティニ人の集落起源で,前1世紀末にローマの領有下に入り,後1世紀にはローマ軍の重要な拠点となる。ウェスパシアヌス帝のとき植民市昇格武器工場,艦隊基地も置かれ,ことに4世紀になって各皇帝,高官がここに居住し,多くの法令をここから発し,また貨幣鋳造所も設けられた。中世にも存続し司教座都市となった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シルミウム」の意味・わかりやすい解説

シルミウム
Sirmium

古代ローマの属州パンノニアサバ川河畔にあった要塞都市。現在はセルビアの首都ベオグラード西方にあるスレムスカミトロビツァ。前1世紀末ローマ領となり,ローマ軍の基地が置かれた。皇帝ウェスパシアヌス (在位 69~79) のとき植民市 (コロニア ) が建てられた。帝政後期にはしばしば皇帝所在地となり,高官も居住。多くの法令がここから発布された。ドナウ地方とを結ぶ交通の要地,武器,貨幣の製造地としても重要であった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシルミウムの言及

【ユーゴスラビア】より

…シンギドゥヌムSingidunum(現ベオグラード)など,今日の多くの町の基礎が建設された。なかでもシルミウムSirmium(現スレムスカ・ミトロビツァ,セルビア北部)は4世紀の四分治制(テトラルキア)時代は首都として栄え,宮殿址などが残っている。イストラ半島のプーラにはアウグストゥス帝時代の円形劇場がある。…

【ユーゴスラビア】より

…シンギドゥヌムSingidunum(現ベオグラード)など,今日の多くの町の基礎が建設された。なかでもシルミウムSirmium(現スレムスカ・ミトロビツァ,セルビア北部)は4世紀の四分治制(テトラルキア)時代は首都として栄え,宮殿址などが残っている。イストラ半島のプーラにはアウグストゥス帝時代の円形劇場がある。…

※「シルミウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android