日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シング(Richard Laurence Millington Synge)
しんぐ
Richard Laurence Millington Synge
(1914―1994)
イギリスの生化学者。10月28日リバプール生まれ。ケンブリッジ大学で博士号取得(1941)、リーズの羊毛工業研究協会、ロンドンのリスター研究所を経て、ローウェット研究所(アバディーン)のタンパク化学部長(1948)、ノリッジの農業研究会議の食糧研究所に所属(1967~1976)。最大の業績は、A・J・P・マーチンと協力してアセチルアミノ酸を分離する方法を開発中、分配クロマトグラフィーを考案(1941)、さらに濾紙(ろし)クロマトグラフィーを開発した(1944)ことであり、これによって分離困難なタンパク質水解液中のアミノ酸が分析され、生化学に貢献、1952年マーチンとともにノーベル化学賞を受賞した。さらにペプチドの分析方法について研究を発展させ、グラミシジン(ポリペプチド、抗生物質)を分離し、その構造を明らかにした。
[岩田敦子]
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