ジェルミニー・ラセルトゥー
じぇるみにーらせるとぅー
Germinie Lacerteux
フランスの作家ゴンクール兄弟の長編小説。1865年刊。自家の実在の女中がモデル。この女中は、老嬢の女主人に忠実に仕えながら、外泊しては酷薄な恋人に自分の財産から主人の金品までも貢ぎ、捨てられるのを恐れて借金までしたあげく、身心ともにぼろきれのようになって死ぬ。記録と観察に基づき、下層階級の現実生活、とくに病的な「愛欲の臨床記録」を描く手法は自然主義文学の嚆矢(こうし)とされ、ゾラに強い影響を与えた。
[齋藤一郎]
『大西克和訳『ヂェルミニイ・ラセルトゥ』(岩波文庫)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例