デジタル大辞泉
「ジニ係数」の意味・読み・例文・類語
ジニ‐けいすう【ジニ係数】
所得・資産 分配の不平等度などを示す指標の一。係数は0と1の間の値をとり、値が1に近づくほど不平等度が高くなる。イタリア の統計学者ジニ(C.Gini)が提示。 [補説]0.4が社会不安定化の警戒ラインとされる。
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ジニ係数
所得や資産の均等の度合いを表す指標。イタリアの統計学者ジニが考案 した。全員 の富が全く同じであれば「0」、数値 が大きくなるほど格差が広がり、全ての富が1人に集中すると「1」となる。所得格差 の国際比較で広く用いられる。日本の近年 の調査 では、当初所得に社会保障給付 などを加味した「再分配後の所得」は0・37~0・38前後の水準 で推移している。
更新日:2023年8月22日
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ジニ係数 (ジニけいすう) Gini's coefficient
所得や資産の分布 の不平等を計測するためにイタリア人ジニC.Giniが1936年に考案した一指標。ジニ集中指数 Gini's coefficient of concentrationともいう。所得yi が所得の低い順に(y 1 ,y 2 ,……,yn )で与えられているとき,ジニ係数G は で定義された値である。すなわちジニ係数とは,所得の組合せ(yi ,yj )をすべての構成員について考え,その差(絶対値)の平均額を平均所得μで除した値の半分である。半分にするのは,所得のペア (yi ,yj )と(yj ,yi )の所得差が双方ともに考慮されているからにほかならない。したがって,たとえばジニ係数が0.4に等しいとき,任意に選びとった2人の間の所得差は全体としてみれば平均所得の40%に相当していることになる。ジニ係数は完全平等のとき最小値0をとり,所得が1人に集中している完全不平等のとき最大値(1-1/n )をとる。
ジニ係数はローレンツ曲線 を用いて図示 可能である。すなわち均等分布線(対角線 )とローレンツ曲線で囲まれた月形 の面積の2倍にジニ係数は等しい。なおローレンツ曲線が交差する場合,ジニ係数とは異なる不平等の順序 づけが他の指標(たとえば変動係数 ,これは標準偏差 を平均所得で除した値)を用いると可能である。他の指標と比較すると,ジニ係数は中間所得階層の所得の動きに最も敏感であることが知られている。
ジニ係数は産業 の集中度 や貧困 の程度 を計測する場合にも転用されている。なおジニ法則Gini's lawは分布の型を経験 に基づいて特定化したものであり,ジニ係数とは無関係である。 →所得分布 →パレート法則 執筆者:高山 憲之
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ジニ係数 ジニけいすう Gini coefficient
所得や資産の不平等あるいは格差をはかるための尺度の一つ。名称は,これを提案したイタリアの統計学者コラド・ジニ にちなむ。ジニ係数の算出にはローレンツ曲線 が用いられる。ローレンツ曲線は,所得の場合,対象者を低所得者から高所得者へ順に並べ,それを累積分布として表したものである。所得の累積比率を縦軸,人数の累積比率を横軸 とすると,全員の所得が同じとなる完全平等社会は,累積分布が 45°線で表される。それに対し,1人が所得を独占し,残りの人々の所得が 0となる完全不平等社会では,累積分布が反 L字型となる。ジニ係数とは,45°線とローレンツ曲線で囲まれる部分の面積を 2倍したものであり,完全平等社会であれば 0,完全不平等社会であれば 1となる。日本のジニ係数は,2009年の全国消費実態調査によれば 0.283である。調査年は異なるが,2004年のルクセンブルク所得研究 LIS によると,アメリカ合衆国 は 0.372,イギリスは 0.345であり,日本は経済協力開発機構 OECD諸国のなか では中位 に属している。一方,時系列 でみると,日本のジニ係数は 1984年 0.252,1994年 0.265,2004年 0.278と上昇傾向にある。この傾向は OECD諸国でも観測されており,所得格差の拡大というよりも,高齢化の進展によるところが大きいと考えられる。(→所得分布 )
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ジニ係数 じにけいすう
社会における所得分配の平等・不平等を計る指標。0から1までの数字で示され、0に近づくほど平等、1に近づくほど不平等で格差が大きいことを意味する。0であれば、社会のなかの全員、皆完全に同じ所得であり、逆に1であれば、一人が社会の所得のすべてをひとり占めしているような状態となる。
日本では厚生労働省が3年ごとに公表している所得再分配調査のなかでジニ係数を計算している。2005年(平成17)調査によると、ジニ係数は0.5263と、過去最高を記録した。近年、非正規労働者の増加などで若い世代の所得格差が広がっているといわれているが、いまのところ、格差が広がっている最大の原因は、もともと所得格差の大きい高齢者が増えたためとされている。社会保障制度や税制によって国民の所得を再分配した後のジニ係数は0.3873で前回調査と比べほぼ横ばいとなっている。日本のジニ係数の大きさは先進諸国のなかでは中位に位置するとされている。
[編集部]
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知恵蔵
「ジニ係数」の解説
ジニ係数
米国や日本では、1960年代から70年代にかけ、経済成長と平等化が同時進行していた。80年代、規制緩和、市場優位の政策が定着しだすと、それまでと一変し、所得の不平等の拡大が見られだした。この不平等程度を測る尺度として用いられるのがジニ係数である。横軸に所得の低い人から高い人を図のように0からAに並べ(0A=1とする)、縦軸に所得を累積してとる。すべての人の所得の合計がABである(AB=1とする)。完全平等ならグラフは0B線となるが、現実は弓形になる。この弓形の斜線の部分の0ABに対する比がジニ係数である。完全平等なら0、完全不平等なら1であり、大きくなると不平等度が増す。ジニ係数は、中産階級の不平等度をよく示すといわれている。米国は、68年が最も平等に近く0.384。94年は0.426である。日本の厚生省(現・厚生労働省)調査の再分配所得(当初所得+現物給付+社会保障給付金-社会保険料)によるジニ係数は81年が0.3317、2002年は0.3917となっており、不平等度が大きく増していることがわかる。こうした日本のジニ係数の増加を背景に、日本も米国並みの格差社会となったとする説もある。
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ジニ係数【ジニけいすう】
1936年イタリアの統計学者C.ジニによって考案された指標で,ローレンツ曲線(1905年アメリカの官庁統計家M.O.ローレンツが考案)と均等分布線とで囲まれた面積の2倍として示され,おもに世帯や地域ごとの所得格差を計測する目的で使われる。0から1までの数値で示され,調査対象の全世帯が同じ収入を得る完全に平等な状態であれば数値は0であり,1に近いほど所得の格差は大きくなる。所得格差をみるときに,一般的に望ましい数値は0.2−0.3とされ,0.5を超えると格差が著しく大きく是正が必要とされる。なお厚生労働省が3年ごと行う〈所得再分配調査〉では,ジニ係数を用いて調査結果を公表しており,2002年調査では0.4983と過去最高値を更新し,日本社会における所得格差の拡大を示唆している。
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ジニ係数
所得配分の隔たりを測る指数。ジニは指標を考案したイタリアの統計学者の名前。係数の範囲はゼロから1で、係数が大きいほど格差が大きい。係数ゼロは全員が同じ所得を得ており、1なら1人が全所得を独占している。0.5は上位四分の一の人で全所得の四分の三を占めている状態だ。日本のジニ係数は、6万世帯分の所得を集める総務省の「全国消費実態調査」、一万世帯から算出する厚生省の「所得再分配調査」など複数ある。厚生省調査は年収200万円未満の低所得世帯の構成比率が総務省調査より高く、ジニ係数が高く出る。
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