日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャン・ド・マン」の意味・わかりやすい解説
ジャン・ド・マン
じゃんどまん
Jean de Meung
(1240?―1305)
フランス中世の詩人、翻訳家。本名ジャン・ショピネルJ. Chopinel。ラテン作家の仏訳、2編の風刺詩、とりわけ『ばら物語後編』(1275~80)がある。寓意(ぐうい)的手法による優雅な恋愛術の物語であったギヨーム・ド・ロリスGuillaume de Lorris(1200/1210―40ころ)の『ばら物語』は、マンの自然哲学・脱神秘化の試みにより一貫して反ロリス的となり、あらゆるアイロニーに満ちたものに変わり、博識によって百科全書派的啓蒙(けいもう)主義の一面も示した。中世の物語文学に転機を画した。
[神澤榮三]