ストック調整(読み)すとっくちょうせい(英語表記)stock adjustment

知恵蔵 「ストック調整」の解説

ストック調整

企業の資本(建築物・生産設備)や在庫、家計耐久消費財などのストック量を適正な水準に修正していくこと。具体的には資本ストック調整や在庫調整といわれ、景気循環の原因になると考えられている。例えば、景気が上昇局面にあり、将来需要の増加が見込まれれば、企業は需要増に対応し、生産設備を増やし、供給力の増強を図る。しかし後退期を迎え、期待ほど需要が伸びなくなると、ストックが過剰になり、ストックの調整が始まる。バブル期に行われた設備投資で増加した資本ストックは、バブル崩壊と共に過剰感が増し、ストック調整に長時間要することになった。1999年版「経済白書」で、バブル崩壊後の長期化した不況の原因として分析された「3つの過剰」の1つ「設備過剰」は、資本ストックの過剰を指す。

(本庄真 大和総研監査役 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ストック調整」の意味・わかりやすい解説

ストック調整
ストックちょうせい
stock adjustment

設備投資行動理論の一つで,将来予測される需要動向に見合った最適な資本ストックと,現存の資本ストックとの間にギャップが存在する場合,企業はそのギャップを埋めるため調整的な設備投資を行なうとする考え方。ストック調整原理あるいは伸縮的加速度原理ともいわれる。日本では石油危機以降,為替変動の不確実性や公害防止などの制度的要因により,妥当性が低くなったとみられたが,1990年後半から設備投資行動ではストック調整原理が復活し,それが景気後退をもたらす要因ともなった。

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