イギリスの産業経済学者マレーRobin Murray(1944― )が提唱した概念。2003年(平成15)7月に、マレーの著書『Zero Waste』の日本語版『ゴミポリシー――燃やさないごみ政策「ゼロ・ウェイスト」ハンドブック』(グリーンピース・ジャパン翻訳、築地書館刊)が出版され、日本でも注目された。「ゼロ・ウェイスト」とは、ごみを焼却、埋立て処理をせず、資源の浪費や、有害物質や非再生可能資源の利用をやめて環境負荷を減らしながら、堆肥(たいひ)化などの物質回収や再生可能エネルギー利用、リサイクルによって、ごみをゼロにする考え方。「ゼロ・ウェイスト」の目的はごみの発生回避であり、エネルギー消費が少なく、環境負荷が少ない自然代謝を最大限に活用した社会を目ざしているといえよう。「ゼロ・ウェイスト」の三大目標として、(1)有害物質を排出しない、(2)大気汚染を生じさせない、(3)資源をむだにしない、が提唱されている。また、「ゼロ・ウェイスト」の重要なポイントである4Lとは、Local(地域主義)、Low cost(低コスト)、Low impact(低環境負荷)、Low technology(高度の技術にたよらない)を意味している。1996年、オーストラリアの首都キャンベラが初めて「ゼロ・ウェイスト」を政策として採用し、その後ニュージーランド、北米やヨーロッパなどの各都市に広がっていった。
マレーの原著は、イギリス政府にごみ政策の転換を迫った画期的なレポートとして、イギリス本国はもちろん、世界のごみ問題関係者の間で話題にされた。「ウェイストwaste」は廃棄物、不要物を意味し、「ゼロ・ウェイスト」は廃棄物ゼロを目ざす意味で使われている。「ゼロ・エミッション」や「ごみゼロ」とも共通するところは、廃棄物問題の根源をなくすることであるが、マレーは高い処理コスト、安全性への懸念から焼却や埋立ての回避を目標にして提唱している。日本では、安全な処理、減容化処理として焼却が広く使われているので、ダイオキシン類対策など環境保全対策もできている焼却を回避する必要性については、かならずしも賛同は得られていない。
[田中 勝]
『R・マレー著、グリーンピース・ジャパン訳『ゴミポリシー――燃やさないごみ政策「ゼロ・ウェイスト」ハンドブック』(2003・築地書館)』
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