ソルビトールsorbitolともいう。糖アルコールの一種で,グルコースのアルデヒド基が水酸基に還元された6価アルコールC6H8(OH)6である。工業的にも,グルコースを高圧接触還元あるいは電解還元して製する。自然界にも,ナナカマド,リンゴなどの植物の果実中や海藻などに存在するが,その量はわずかである。光学異性体としてD-型とL-型があるが,自然界にあるのはD-型であり,工業的にもD-型のみを製造する。砂糖の約半分の甘みをもち,また摂取後,血糖値を上昇させないので,糖尿病用のダイエットフードに用いる。甘味源以外にも加工食品用の素材としての利用面が広い。例えば,吸湿性が強く,タンパク質と混ぜたとき適度な組織を与えるので,冷凍すり身に添加され,水産練製品の原料として多く用いられている。さらに,合成ビタミンCの原料となる。
細菌はソルビットを代謝できるが,動物の場合,通常は代謝されない。しかし,精囊中でグルコースからフルクトースへの生成中間産物となり,また飢餓状態においては,グリコーゲン合成に使われることもある。
執筆者:田島 真+柳田 充弘
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…グルタミン酸がコンブのうま味の発現に関与していることはよく知られているが,コンブは弱い甘みをもつ糖アルコールの含量も高い。紅藻類の糖アルコールであるソルビットの甘みはかなり強いので,糖尿病患者用の甘味料として利用されている。駆虫剤のマクリ(海人草),血圧降下剤のラミニンは海藻の薬効成分を製剤化したものである。…
…アミノ酸が3個つながったアスパルテームというペプチドがひじょうに甘いが,合成甘味料に属する。(3)糖アルコール 糖のアルデヒド基がアルコール基となったもので,マルチトール,ソルビットなどがよく用いられる。消化吸収されないので低カロリー甘味料として利用されている。…
※「ソルビット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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