日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソレノイド(気象)」の意味・わかりやすい解説
ソレノイド(気象)
それのいど
solenoid
単位間隔の隣接する二つの等圧面と二つの等温面(または等密度面/等比容面)によって囲まれた空気管をいう。順圧大気では等圧面と等温面が一致(平行)するのでソレノイドは形成されない。傾圧大気の鉛直断面上の任意の閉曲線を考えると、気圧傾度の方向(気圧の増す方向)から温度傾度の方向(温度の増す方向)への循環がこの閉曲線に沿って生じ、その循環の強さは閉曲線に囲まれた領域内のソレノイドの数に比例する。
鉛直断面は大気を鉛直に切った面であるから、断面でみると等圧面と等温面は等圧線と等温線である。実際の断面図では等圧線は水平に描かれている。ソレノイドの部分では等圧線に対して等温線が大きく傾斜して、等圧線と等温線が井形を形成している。この井形の部分の気層を傾圧層という。
一方、高層天気図(等圧面天気図)では等高線と等温線が交差して形成する井形の部分がソレノイドの部分である。波形の等高線と波形の等温線の位相がずれている場合によくみられる。そこで生じる循環が反時計回りであれば正の渦度を強め、時計回りであれば正の渦度を弱める(負の渦度を強める)効果を渦度に及ぼす。
[股野宏志]
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