改訂新版 世界大百科事典 「タラサ」の意味・わかりやすい解説
タラサ
Tarrasa
スペイン北東部,カタルニャ地方バルセロナ県の工業都市。バルセロナの北西約20kmに位置。人口17万3775(2001)。毛織物を中心とする織物,電気,機械等の工業が行われる。古代ローマ時代の町エガラEgaraに起源をもち,5~8世紀には司教座都市。アリウス派キリスト教を信奉した西ゴート族の教会堂建築が,付近の山ろくに残る。主要な建造物はサンタ・マリア教会,サン・ミゲル洗礼堂,サン・ペドロ礼拝堂の三つ。前2者は馬蹄形プランのアプス(後陣),後者は三葉形のアプス(いずれも6世紀ごろ)をもつ。サン・ミゲル洗礼堂では,柱頭にアカンサス文様が見られ,アプスのフレスコ壁画(10世紀)はビザンティンからの影響も示す。歴史的な織物を収蔵するビオスカ織物美術館も知られ,またスペイン随一の織物学校がある。
執筆者:五十嵐 ミドリ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報