ダゲスタン諸言語(読み)だげすたんしょげんご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダゲスタン諸言語」の意味・わかりやすい解説

ダゲスタン諸言語
だげすたんしょげんご

コーカサス語族の北東部に位置する有数の言語群である。主としてロシア連邦ダゲスタン共和国で話され、言語人口は約170万。約26の言語からなり、二つの方言群、〔1〕アバール・アンディ・ツェーズ語群、〔2〕レズギン語群に大別される。これらに孤立的な言語としてラック語とダルギン語が加わる。ダゲスタン諸語のうち文章語をもつのはアバール語、レズギン語、ラック語、ダルギン語、タバサラン語の五つである。これらの言語による文献の出現は1917年以後である。文字法は、最初はアラビア文字、次にラテン文字によったが、1938年からロシア文字に切り換えられた。音声面では、母音体系が単純であるのに対して子音体系は複雑で、側面音、口蓋(こうがい)垂音、咽頭(いんとう)音、喉頭(こうとう)音、声門閉鎖音をもつ。文法面で特徴的なのは、能格構文の発達、格形態の多様性、男・女、生物・無生物の分類に基づく名詞の語類である。

[栗原成郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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