チチェーリン(Boris Nikolaevich Chicherin)(読み)ちちぇーりん(英語表記)Борис Николаевич Чичерин/Boris Nikolaevich Chicherin

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

チチェーリン(Boris Nikolaevich Chicherin)
ちちぇーりん
Борис Николаевич Чичерин/Boris Nikolaevich Chicherin
(1828―1904)

ロシアの歴史家、法学者、哲学者。ロシアの歴史を国家による上からの組織化の進行過程としてとらえ、社会関係の形成における国家の役割を強調する、いわゆる国家学派の創始者の一人である。政治的には行政的集権化を支持し、公益を守るために国家が上から統制を加えることの必要を説くと同時に、法治主義と権利の確立をも目ざした。それゆえアレクサンドル2世の諸改革の意義を積極的に評価し、のちには立憲君主制の熱心な提唱者となった。哲学の分野では、合理主義的に理解されたヘーゲル主義の立場にたち、神秘主義実証主義を退けた。ロシアにおけるマルクスの批判者として知られる。

竹中 浩]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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