テトラチアフルバレン

化学辞典 第2版 「テトラチアフルバレン」の解説

テトラチアフルバレン
テトラチアフルバレン
tetrathiafulvalene

C6H4S4(204.36).略称TTF.1,3-ジチオリウム塩の塩基による二量化反応で得られる.橙黄色結晶融点114~116 ℃.水に不溶,アセトニトリルジクロロエタンに微溶.気相でのイオン化エネルギーは6.86 eV.アセトニトリル中における第一,第二酸化還元電位(対SCE)は,それぞれ0.33 V,0.77 V である.電子供与性分子のため,電子受容性分子と電荷移動錯体をつくりやすい.カチオンラジカルが安定であるので,各種の無機陰イオン(SCN,SeCN,ClO4,BF4など)とラジカル塩を生成する.テトラシアノ-p-キノジメタンとの電荷移動錯体は高い電気伝導性を示す.種々の有機伝導物質合成に用いられる.[CAS 31366-25-3]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のテトラチアフルバレンの言及

【有機導体】より

…これが金属有機体organic metalの出現の原因となった。 さらに,テトラチアフルバレン(TTF)が合成され,73年その錯体TTF‐TCNQが金属的電気伝導度特性を示すに至り,有機導体は,金属有機体として,その理論的および実験的研究が活発に行われた。80年,TTFの置換体(テトラメチルテトラセレノフルバレン)と五フッ化リンPF5との錯体が6.5Gbarの高圧下で超伝導を示すことが見いだされ,ここに有機超伝導体が出現した。…

※「テトラチアフルバレン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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