テーラー(Frederick Winslow Taylor)(読み)てーらー(英語表記)Frederick Winslow Taylor

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

テーラー(Frederick Winslow Taylor)
てーらー
Frederick Winslow Taylor
(1856―1915)

アメリカの能率技師。科学的管理法の創始者で、アメリカ経営学の源流とされる。フィラデルフィアに生まれ、初め法律家を志望したが、眼疾のため断念し、機械工場の徒弟、ミッドベール製鋼所の機械工・職長・技師長、ベスレヘム製鋼所技師を経て、コンサルタントになった。工場勤務時代に労働者の怠業を目撃して科学を基礎とした作業管理の必要を痛感し、テーラー・システムとよばれる新しい手法を開発した。それは、(1)労働者の標準作業量(タスク課業)を科学的に決定するための時間研究、(2)課業の達成を刺激するための差別的出来高給、(3)計画部門と現場監督部門を専門化した機能別組織、を軸とした管理システムであった。そのシステムは、鉄道会社の合理化を契機に広く採用されるようになり、科学的管理法とよばれるようになるが、労働組合反対は一貫して強かった。しかし、作業管理に科学的思考を導入し、その後の発展の道を開いた点で、彼の業績は不滅である。

[森本三男]

『F・W・テーラー著、上野陽一訳・編『科学的管理法』(1957・技報堂出版/新版・1969・産業能率短期大学出版部)』『フレデリック・W・テイラー著、有賀裕子訳『新訳科学的管理法――マネジメントの原点』(2009・ダイヤモンド社)』

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