トランブレー(英語表記)Abraham Trembley

改訂新版 世界大百科事典 「トランブレー」の意味・わかりやすい解説

トランブレー
Abraham Trembley
生没年:1710-84

スイスの動物学者。ジュネーブで学び,オランダに移り,研究を進めた。教育の才能をみこまれて貴族息子家庭教師となり,その成人後に十分な退職金をもらい,スイスにもどった。彼は教育,政治宗教などに関する著作を多く書いているが,ヒドラの再生実験を行ったことで有名である。一匹のヒドラを切り離してばらばらにしても,それぞれの部分から再び成体が形成される事実発見は,当時の発生学論争において,後成説を支持する有力な証拠とみなされた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のトランブレーの言及

【生物学】より

… 18世紀になると,後生説をとなえたC.F.ウォルフ,多能の実験家であったL.スパランツァーニ,前生説論者でアリマキの単為生殖を見いだしたC.ボネなど,発生学の研究が目だつようになる。A.トランブレーがヒドラの再生実験を行って,動植物の区別について議論を引き起こしたのも,またリンネが種の固定不変を信じながら,現実にみる種の可変性に悩まされたのも,18世紀のただ中のことであった。新しい手段と意欲によって,生物の多様性やいろいろの現象を関連して見る必要が認識され,解剖学や生理学では比較の方法が意識されるようになった。…

【前成説】より

…そしてC.ボネによってアリマキの単為生殖が発見されるにいたり(1745),精原説は完全に権威を失った。これと前後してA.トランブレーがヒドラの再生現象を実証した(1744)。前成説が正しければ,失われた部分が再生するはずはない。…

※「トランブレー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android