トーマス(E. Donnall Thomas)(読み)とーます(英語表記)Edward Donnall Thomas

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

トーマス(E. Donnall Thomas)
とーます
Edward Donnall Thomas
(1920―2012)

アメリカの内科医。テキサス州マートに生まれる。1941年テキサス大学を卒業、1943年同大学で修士号取得。1946年ハーバード大学医学部を卒業。臨床研修で1年間血液学を学んだ後、2年間軍務につく。マサチューセッツ工科大学で1年間の研究を経て、ピーター・ベント・ブリガム病院(のちにブリガム婦人病院)に勤務。このとき、同病院の外科医であったJ・マレーと出会い、その腎臓(じんぞう)移植腎移植)研究にも携わる。1955~1963年コロンビア大学医学部教授、1963年からワシントン大学教授。1975年よりフレッド・ハッチンソン癌(がん)研究センターに勤務(2002年退職)。

 骨髄移植は外科的処置を必要とせず、幹細胞を含む骨髄を患者に静脈注射することで移植できることを明らかにした。さらにイヌを使った骨髄移植実験を重ね、1956年に遺伝的に同一である一卵性双生児で骨髄移植に成功。1969年には一卵性双生児ではない血縁者からの移植にも成功した。骨髄移植により、遺伝性の貧血白血病などの免疫系疾患の治療が可能となった。これらの功績により、マレーとともに1990年のノーベル医学生理学賞を受賞した。

[馬場錬成]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android