ドクウツギ(毒空木)(読み)ドクウツギ(英語表記)Coriaria japonica

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドクウツギ(毒空木)」の意味・わかりやすい解説

ドクウツギ(毒空木)
ドクウツギ
Coriaria japonica

ドクウツギ科の落葉小低木で,イチロベゴロシともいう。近畿地方以東の本州および北海道に分布し,河岸や林縁など日当りのよい荒れた場所によく生える。高さ 2mほどで全体に毛はなく,枝はやや太めで稜があり,断面は四角形をなす。柄のない葉が2列に対生するため,一見羽状複葉に見える。葉は先のとがった狭卵形で,長さ6~8cmあり,3本の葉脈が目立つ。春に,葉の出る前に総状花序をなして黄緑色の小花を多数つける。雌雄異花で,雌花序と雄花序とが同じところから出る。雌花の花弁は紅色で5枚あり,花時には小型であるが,のちに著しく大きさを増して多肉質となり果実を包む。果実は球形で熟すると紫黒色になる。果汁は甘いが猛毒成分があるため,あやまって食べると死ぬ。茎や葉も有毒。1属1科の植物であるが,同属の種類は南アメリカやニュージーランドなどに数種あり,やはり有毒なものが多い。

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