ドバーラバティー(読み)どばーらばてぃー(英語表記)Dvaravati

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドバーラバティー」の意味・わかりやすい解説

ドバーラバティー
どばーらばてぃー
Dvaravati

7~8世紀ごろ、タイ中部のチャオプラヤー川下流域を中心に存在したモン人の国家。その国名は唐代の漢文資料にみえる「堕羅鉢底」「杜和鉢底」などからの推定であったが、1963年、ナコン・パトムバンコクの西50キロメートルの地)からドバーラバティー王と記した銀メダルが発見され、その推定の正しさが実証された。首都はナコン・パトム説、ロッブリ説などが有力であるが確証はない。8世紀初めまではその存在が立証され、その後文献には現れなくなるが、14世紀なかば同地方に建国されたアユタヤの正式国名にタワーラワディ(ドバーラバティー)の名が残されていることは、その影響の大きさを示している。小乗系の仏教を信奉し、後グプタ美術の影響を受けて独自に発展したドバーラバティー様式とよばれる多くの仏像彫刻を残している。「貿易に銀銭を用いる」(『通典(つてん)』)という記述の存在は、この国が活発な通商活動を行っていたことを示唆している。

石井米雄

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android