…次のアッバース朝(750‐1258)は中部イラクの開発に重点を移し,ユーフラテス川とティグリス川を結ぶ数多くの運河の開削によって,バグダード南西部は帝国随一の肥沃な農耕地帯に変貌した。エジプトでは,ナイル川の水位を測る最初のナイロメーターがローダ島に建設(716)されて以来,水利事業は運河の開削と補修,湛水用の灌漑土手(ジスル)の建設を中心に進められた。ナイル川の適正な増水は確実に翌年の豊作を約束したから,10月初めにナイル川が最高水位に達すると,カイロ市中は〈満水の祭〉でにぎわったと伝えられる。…
…運河の開削や貯水池の設置によって,定期的な増水と,この増水がもたらす肥沃な泥土を有効に利用することが,古代以来,歴代君主の最も重要な農業政策とみなされてきた。第9,第10王朝では運河の開削が行われたことが碑文に伝えられ,第12王朝期には第2急湍付近に水位計(ナイロメーター)が設置された。イスラム時代に入ると,アスワンとフスタート近くのローダ島に水位計が建設され,ナイルの増・減水はさらに正確に計測されるようになった。…
※「ナイロメーター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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