日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナショナル・リーグ」の意味・わかりやすい解説
ナショナル・リーグ
なしょなるりーぐ
National League
アメリカのプロ野球リーグの頂点にたつ、大リーグ(メジャー・リーグ)の一つ。最初のプロ野球リーグ、ナショナル・アソシエーション(1871年成立)を経て、1876年にシカゴの実業家、ウィリアム・A・ハルバートが企画、アメリカきっての運動具店の創設者で、ボストンの名投手でもあったアルバート・G・スポルディングが協力、ナショナル・リーグ(ナ・リーグ)が誕生した。その年からリーグ戦が始まり、当初は大都市に本拠地を置くボストン、ニューヨーク、シカゴ、シンシナティ、ハートフォード、ルイビル、フィラデルフィア、セントルイスの8球団で構成された。
1950年代にチームの本拠地移転ラッシュが始まり、58年にブルックリン・ドジャース(現ロサンゼルス・ドジャース)とニューヨーク・ジャイアンツ(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)が大陸横断してそれぞれロサンゼルス、サンフランシスコに移転、アメリカ全土へとフランチャイズが広がった。それによってリーグ全体の人気が高まると、1962年に球団数拡張を行い、ニューヨーク・メッツ、ヒューストン・コルト.45s(フォーティファイブス)(現ヒューストン・アストロズ)両球団が増えて10球団となった。続いて、1969年にサンディエゴ・パドレスと大リーグ史上初の国際球団としてカナダのモントリオール・エクスポズ(現ワシントン・ナショナルズ)の2球団が増えて12球団となり、同時に東西6球団ずつの地区制を採用した。さらに、1993年にフロリダ・マーリンズとコロラド・ロッキーズの2球団が増え、東西7球団ずつの14球団へ拡張。1994年には地区再編成を行い、東地区5球団、中地区5球団、西地区4球団の3地区制となった。そして、1998年にアメリカン・リーグ(ア・リーグ)からミルウォーキー・ブリュワーズが中地区に入り、新しくアリゾナ・ダイヤモンドバックスも西地区に加わり、計16球団になった。
1900年創設のア・リーグを「ジュニア・サーキット」とよぶのに対し、1876年創設のナ・リーグは俗に「シニア・サーキット」とよばれる。また、ア・リーグがパワー重視のゲームを展開するのに対し、ナ・リーグは伝統的にスピードを駆使したゲームを売り物としている。
[福島良一]