改訂新版 世界大百科事典 「ネオルネサンス様式」の意味・わかりやすい解説
ネオ・ルネサンス様式 (ネオルネサンスようしき)
Neo-Renaissance style
19世紀前期のヨーロッパで起こったルネサンス建築様式の復興をいう。ドイツのゲルトナーFriedrich von Gärtner(1792-1847)はミュンヘンに建てたルートウィヒ教会(1829-40)および国立図書館(1831-40)で,イタリアのロマネスク様式やルネサンス様式に近い単純な煉瓦造りの半円アーチ様式を採用したが,これが石材に乏しいドイツの状況によく適合して流行し,やがてゼンパーによるドレスデンの宮廷歌劇場(1838-41)のような優雅なルネサンス様式の採用に変化した。イギリスでは,C.バリーのロンドンの旅行家クラブ(1830-32)や自由党クラブ(1838-41)のような,パラッツォの様式を採用したクラブ建築が流行し,フランスでも,ラブルーストのサント・ジュヌビエーブ図書館(1838-40)や,デュケネーのパリ東駅(1847-52。95-99改築)のような秀作が造られた。19世紀後期には,ヨーロッパ諸国のナショナリズムと結びついて,それぞれの国の初期ルネサンス様式の復興が,民族的様式として歓迎された。
執筆者:桐敷 真次郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報