ノモスとフュシス(英語表記)nomos kai physis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノモスとフュシス」の意味・わかりやすい解説

ノモスとフュシス
nomos kai physis

前者は「法律習俗」,後者は「自然本来のもの」 (人為によっては動かされぬ必然的なもの) を意味するギリシア語。この両者が対立カテゴリーとして登場したのは,アテネにおいてである。法は神聖であり正義と幸福 (利益) は一致するものとされていたが,法律のたび重なる改変周囲実情に影響されて,かつては絶対視されていたノモス的なるもの一般の相対性や正義と利益の相反が鋭く自覚されるようになった。当時ソフィストたちは制度や価値は本来ノモス的なものか,それともフュシス的なものかを問題とし,神や正義さえもフュシス的性格を奪われてノモス的なものの領域に組入れられるにいたった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android