1件の重大事故発生の陰で、29件の小規模な事故、300件の異常(ヒヤリ・ハット経験)が起きているという、労働災害における経験則。1:29:300の法則、ヒヤリ・ハットの法則ともいう。アメリカの損害保険会社で調査に携わっていたハインリッヒHerbert William Heinrich(1886―1962)が1929年に発表した論文で言及したものである。この法則から、労働現場で日々起きている「ヒヤリ」「ハッ」と危険を感じた事象をすべて抽出し、その原因を撲滅することが重大事故を未然に防ぐことにもつながる、との見解が導き出せる。ただし、労働災害に自然災害が組み合わさった場合には、予測不能な事態が起きるためこの限りではない。こうした場合には、1件の重大事故の陰に隠れている日々の危険を排除するだけでは、事態に対応することはできない。起こりうる危険のレベルを想定し、それに対する方策もあわせて準備しておくことが必要である。
[編集部]
(2012-09-7)
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