ハワード(John Howard、監獄改良運動家)(読み)はわーど(英語表記)John Howard

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ハワード(John Howard、監獄改良運動家)
はわーど
John Howard
(1726―1790)

イギリスの監獄改良運動家。ロンドン近郊のハックニーに紳商の子として生まれ、父の死後、慈善事業に身を投じた。1773年、ベッドフォード州の執行長官High Sheriffとなって、監獄を視察、自らのフランスでの獄中体験と同じ惨状がそこにあるのを知ったのが転機となる。イギリス各地の監獄の実情を調査した結果、獄吏の生活費が囚人の手数料でまかなわれることの弊害を痛感して、国庫負担への道を開いた。調査は数回にわたり、ヨーロッパ各地にも及ぶ。囚人の生活条件の改善、雑居拘禁を廃して作業を伴う独居拘禁を採用すべきことを主張、1777年には『イングランドおよびウェールズにおける監獄事情』を公刊し、監獄改良運動に多大の影響を与えた。ヨーロッパ、小アジアの避病院を視察中、患者の熱病に感染し、クリミアヘルソンで病没した。1866年、イギリスにハワード協会が設立された。同協会は彼の人道主義に倣って、その後の獄制改革に貢献した。

[須々木主一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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