バザン(Hervé Bazin)(読み)ばざん(英語表記)Hervé Bazin

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

バザン(Hervé Bazin)
ばざん
Hervé Bazin
(1911―1996)

フランスの小説家。本名ジャン・ピエール・エルベ・バザンJean-Pierre Hervé-Bazin。アンジェに生まれる。『蝮(まむし)を手に』Vipère au poing(1948)で小説家として世に出た。自己の体験に根ざして、地方ブルジョア社会とその家族生活の問題を、初期は激しく非難し、のちには平静なモラリストの眼(め)をもって描いた。『壁に頭をうちつけて』La Tête contre les murs(1949)、『小馬の死』(1950)、『立ちて歩め』Lève-toi et marche(1952)、『愛せないのに』Qui j'ose aimer(1956)、『息子の名において』Au nom du fils(1961)、『梟(ふくろう)の声』Cri de la chouette(1972)、『真夜中の悪魔』Le Démon de minuit(1988)、『父親学校』L'école des pères(1991)など、心理的な人物表現と、アイロニーをこめた社会風俗の描写に優れた数々の小説がある。

小林 茂]

『二宮敬・山本顕一訳『愛せないのに』(1964・白水社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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