バザン硬結性紅斑(読み)バザンこうけつせいこうはん(その他表記)erythema induratum Bazin

改訂新版 世界大百科事典 「バザン硬結性紅斑」の意味・わかりやすい解説

バザン硬結性紅斑 (バザンこうけつせいこうはん)
erythema induratum Bazin

フランスの皮膚科医バザンAntoine P.E.Bazin(1807-78)がはじめて記載した病気で,皮膚結核の一つ。日本では最も多い結核疹である。下腿に好発し,暗赤色の皮下硬結(しこり)を数個生じる。大きさは鶏卵大ほどのもので,それらが融合することもある。自覚症状として重い感じがあり,ときに軽い痛みがある。中央が軟化し潰瘍となることもあるが,ここから結核菌を見つけることは困難である。病理学的には皮下脂肪結核肉芽腫性炎というべきもので,血管炎を有する場合もある。鬱血(うつけつ)が誘因となり,皮下血管に結核菌が定着して病変を起こすものと考えられている。しかし,肺結核など内臓の結核を合併していることはほとんどない。病理学的検査のほかツベルクリン反応などで結核性であることを確かめたうえ,抗結核剤による化学療法を長く続けるほか,安静にし,下肢の鬱血を防ぎ,末梢血行促進剤を併用する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バザン硬結性紅斑」の意味・わかりやすい解説

バザン硬結性紅斑
バザンこうけつせいこうはん
erythema induratum Bazin

結核疹 (→皮膚結核 ) の一つ。おもに女性の下腿,ときに前腕に暗赤色の鳩卵大ぐらいまでの皮下結節性病変が多発する。通常,全身症状を伴わないが,結核初感染後に発病した場合は,発熱関節痛などを伴うことがある。結節性病変はのちに軟化し,瘻孔を形成して,内容物が皮表に排出されることがある。組織学的には真皮深層,皮下組織壊死,変性を伴い,類上皮細胞や,ラングハンス巨細胞の増殖を認める肉芽腫で,ときに血管病変 (動静脈炎) がある。本症の発病には結核との関係は必ずしも明確ではなく,循環障害が関与するといわれる。アメリカでは結節性血管炎と呼ぶことが多い。 A.バザンはフランスの皮膚科医 (1807~1878) 。

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