バジョット(英語表記)Walter Bagehot

デジタル大辞泉 「バジョット」の意味・読み・例文・類語

バジョット(Walter Bagehot)

[1826~1877]英国の経済学者・ジャーナリスト雑誌エコノミスト」の主筆として活躍著作ロンバード街」では、イングランド銀行最後の貸し手としての役割を論じた。他の著作に、政治学の古典的名著とされる「イギリス憲政論」や、文芸評論チャールズディケンズ」などがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「バジョット」の意味・わかりやすい解説

バジョット
Walter Bagehot
生没年:1826-77

イギリスの銀行家,文芸評論家,ジャーナリストで,さらに政治・経済学者。大学卒業後フランスに渡り,ルイ・ナポレオンクーデタの評論で注目され,帰国後,家業の銀行業をつぐほか文芸評論誌の創刊に加わった。《エコノミスト》誌の創始者ウィルソンの娘と結婚した縁で,のちに同誌の経営・編集上の責任者となった。多数の評論を残したが,その主著《イギリス憲政論》(1867)は第1次選挙法改正後の憲政のリアルな描写で有名であり,《自然科学と政治学》(1872)によって政治心理学の草分け的存在ともされる。《ロンバード街Lombard Street》(1873)は,イギリスの金融構造と中央銀行の責任について古典的説明を行っている。全集10巻(1915)がある。
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世界大百科事典(旧版)内のバジョットの言及

【エコノミスト】より

…発刊当時は,実際上の主目標は穀物法の撤廃に置かれ,R.コブデン,J.ブライト,J.S.ミル,T.ホジスキンらの多くの論客が寄稿し,反政府的色彩が強かった。60年以降,女婿のW.バジョットが主筆となり,終生(‐1877)健筆をふるい,名編集者としてますます同誌の名声を高めた(当時の発行部数約3000部)。1943年9月(当時は約1万部),創刊100年を記念して経済問題だけでなく,広く社会諸事象をも取り扱うことにするとともに,単に寄稿家の意見を掲載するだけでなく,同誌独自の意見をもつために,Economist Intelligence Unitを創立し,今日,ロンドンだけでも1000余人,日本を含む世界の大多数の国の現地支所を合わせると優に1万を超す職員を擁している。…

【演技】より

…政治家が舞台の上の役者にたとえられるゆえんである。 W.バジョットはかつて,イギリス憲法は演劇的部分と機能する部分とから成ると表現した。君主を中心に据え,非常に古く,伝統的要素に包まれ,壮麗さを帯びて威厳をもった前者が,民衆の心をとらえ,動かす。…

【権力分立】より

…その後,近代憲法が確立していく過程では,多かれ少なかれ議会の優位が貫かれるようになると,そのような制度を説明する用語として権力分立という言葉が積極的に使われることはむしろ少なくなる。たとえば,19世紀イギリスで確立した,議会優位型の議院内閣制についてW.バジョットは,《イギリスの国家構造》(1867)のなかで,立法権と行政権の〈融合〉を論じ,〈内閣は下院の一委員会,ただしみずからを任命した議会を解散できる委員会〉と表現した。他方,19世紀後半から20世紀にかけてのドイツで,内閣の対議会責任制度すなわち議院内閣制の導入を唱えるParlamentarisierung(議会制度化)の要求が出されるようになったとき,そのような進展をおしとどめようとする側がGewaltenteilung(三権分立)のシンボルを援用したのであった。…

※「バジョット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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