バッラ(Giacomo Balla)(読み)ばっら(英語表記)Giacomo Balla

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

バッラ(Giacomo Balla)
ばっら
Giacomo Balla
(1871―1958)

イタリアの画家トリノで生まれ、1895年ローマに移住して生涯を送る。初め分割主義的な技法を用いて労働者や疎外者などの世界を主題にした『狂女』(1905)を描く。1900年パリに旅行。10年「未来主義画家宣言」に署名し、光や形象の運動を解体してリズムや速度を表現する特異な作品(1912年の『バルコニーを走る少女』『鎖につながれた犬のダイナミズム』など)を相次いで発表する。それはイタリア近代絵画における最初の抽象的傾向を示すものであり、他のヨーロッパ諸国の前衛美術にも大きな影響を与えた。15年デペロとともに「宇宙の未来主義的再構成」に署名し、立体的造形装飾美術の分野で活躍する。20年代には政治活動にもかかわり、映画に関心をもつが、それはバッラの光と運動の探求の必然的帰結である。30年以降はふたたび初期の具象的な絵画に戻って影響力を失った。

小川 煕]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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