バース党[イラク](読み)バースとう[イラク](英語表記)Ba'th Party,Iraq

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バース党[イラク]」の意味・わかりやすい解説

バース党[イラク]
バースとう[イラク]
Ba'th Party,Iraq

イラクの支配政党。 1947年ダマスカスで創設されたバース党のイラク支部にあたる。汎アラブ主義の立場から 50年前後にイラクに民族指導部が設立され,51年ファード・リカービ・イラク地域責任者が党組織を強化した。 58年に軍内部の「自由将校団」が起したクーデターによって成立したカセム内閣に加担したが,のちに排除。 63年にはアブドゥル・サラーム・アーリフ主導のクーデターに加わり政権を奪取,革命指導評議会に多くの党員を送り込んだ。しかしその後,党内での派閥争いが激化したことによりバース党はアーリフ政権から排除された。その後一時地下活動に入るが,その間に左派分子を追放するなど,バクルを中心にして党内をまとめあげ,68年7月一部将校の協力を得てクーデターにより政権を奪取,バクル大統領を頂点とする革命評議会を組織し,バース党による一党独裁体制をしいた。 69年に革命評議会副議長についた S.フセインは,1970年代の派閥党争の末に 79年7月,バクルの後任として大統領に就任。フセイン政権は軍部へ大量の党員を送り込むことで軍の「バース化」を進め,さらに 80~88年のイラン=イラク戦争,90~91年の湾岸戦争ではフセイン大統領が指揮をとった。 95年 10月国民投票によりフセイン大統領が信任され,96年3月の議会選挙でもバース党が圧勝した。シリアのバース党とは敵対関係にある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android