パラチオン(その他表記)parathion

翻訳|parathion

デジタル大辞泉 「パラチオン」の意味・読み・例文・類語

パラチオン(parathion)

有機燐ゆうきりん系の農業用殺虫剤褐色でニンニク臭のある液体。稲の二化螟虫にかめいちゅうなどの駆除に用いられたが、毒性が強く、現在は日本では使用禁止。

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精選版 日本国語大辞典 「パラチオン」の意味・読み・例文・類語

パラチオン

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Parathion ) 農業用の殺虫剤。化学式 C10H14NO5PS 第二次世界大戦直前のドイツで開発され、戦後、農薬として広く使われるようになった。きわめて広範囲の害虫に有効だが、益虫まで殺し、また人畜に対する毒性を持っているので、現在は使用を禁じられている。エチルパラチオン。

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改訂新版 世界大百科事典 「パラチオン」の意味・わかりやすい解説

パラチオン
parathion



1944年ドイツのバイエル社のシュラーダーG.Schraderらによって開発された有機リン酸エステル系殺虫剤で,以後,多数の同族体が開発された。無色無臭の油状物質で,きわめて強力な殺虫作用を示し,とくにニカメイチュウ,シンクイムシ,ウンカ,ヨコバイ,カメムシ,アブラムシなど稲作害虫に対する効果が大きい。51年にバイエル社からホリドールFolidolという商品名で日本に輸入され,多量に使用されたが,人畜に対する急性毒性50%致死量LD50=6mg/kg(マウス,経口)と著しく高い欠点を有し,さらにその後の開発研究によって低毒性の有機リン酸エステル類が続々と開発されたため,日本では69年にその製造が中止され,71年に使用禁止となった。パラチオンによる殺虫作用は,神経の刺激伝達に関与するアセチルコリンエステラーゼという酵素の活性を阻害し,それによって神経系における正常な刺激伝達を攪乱することによって引き起こされることが証明されている。

 パラチオンにおけるエチルエステル基を,メチルエステルに変化させたメチルパラチオンもシュラーダーによって開発された。その殺虫力はパラチオンとほぼ同様であるが,急性毒性はパラチオンより弱い。しかし,パラチオンにおけると同様な理由により,1969年に生産が中止された。
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百科事典マイペディア 「パラチオン」の意味・わかりやすい解説

パラチオン

有機リン酸エステル系殺虫農薬の一種。きわめて殺虫力が強く,適用範囲が広い。接触毒,食毒,ガス毒があり,浸透性が強い。日本ではメイチュウなどイネ害虫防除に大きく貢献したが,人畜毒性が強大で危険なため,1969年で生産中止,1971年で使用禁止。特定毒物であり,環境庁が1997年に公表した〈外因性内分泌攪乱化学物質問題に関する研究班〉の中間報告書で環境ホルモンの候補としてあげられている。ホリドールは商品名。
→関連項目EPN殺虫剤マラソン(農薬)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パラチオン」の意味・わかりやすい解説

パラチオン
ぱらちおん
parathion

化学名O,O-diethyl-O-p-nitrophenylthiophosphateの国際的標準名。1944年にドイツで発明され、日本へはホリドールHolidolの商標名で輸入され、1952年(昭和27)からイネのニカメイガなどの防除に卓効があるので全国的に使われた。1958年から住友化学工業(現、住友化学)によって国産化され、多くの農薬会社が原薬を購入して製剤として発売した。農業の振興(食糧増産)に非常に役だったが、中毒者などの多発により、1971年から日本では使用が禁止された。

[村田道雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パラチオン」の意味・わかりやすい解説

パラチオン
parathion

C10H14NO5PS 。殺虫剤。沸点 157~162℃/0.6mmHg の黄色液体。三塩化リン,硫黄,アルコール,ナトリウム,ニトロフェノールを原料として合成。リンを含み多くの有機溶媒に可溶な化合物。多くの昆虫 (特に二化めい虫) ,だになどに対して強力な殺虫効果があるが,定温動物に対しても強い毒性を示し,急性毒性があまりにも強いので,製造および使用を禁止された。類縁のメチルパラチオン C8H10NO5PS も強い殺虫力があるが,やはり定温動物に毒性が強く,製造,使用が禁止された。

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栄養・生化学辞典 「パラチオン」の解説

パラチオン

 C10H14NO5PS (mw291.26).

 有機リン殺虫剤の一つ.現在は使用が禁止されている.

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