ギリシア、エーゲ海南部、キクラデス諸島の中央に位置する島。面積194平方キロメートル、人口1万2783(2001)。山がちで最高点は標高747メートル。地中海式農業が盛んで、ワインのほか、綿花、オリーブ、干しイチジク、タバコを特産する。
紀元前三千年紀末の住居跡が確認されるが、キクラデス・ミケーネ文明崩壊後、イオニア人の定住地となった。アルカイック期には白色の良質大理石産地として繁栄を極め、タソス(タソス島)、パリウム(小アジア)などに植民を行った。叙情詩人アルキロコスはこの地の出身者である。前490年ペルシア統治下に入ったが、サラミスの海戦のギリシア軍勝利後、アテネの同盟国となる。神話時代から前298/297年までのギリシアの歴史を包括する「パロス大理石碑文」Marmor Pariumとして有名な年代記は、前264/263年ごろに彫られたものである。前1世紀ローマに征服され、13~15世紀にはベネチア人の支配を受けた。1537年、オスマン帝国(トルコ)に併合されたが、独立戦争後1830年に新生ギリシアの一員となった。
[真下とも子・古川堅治]
『原随園著『パロス大理石碑文』(『ギリシア史研究余滴』所収・1976・同朋舎出版)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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