北アメリカ原産のクルミ科の高木で,日本にも植栽される。材はスキーの板などに使われた。若枝や葉軸には腺毛があり,芳香がある。葉は羽状複葉で,5~7枚の小葉がある。雄花序は分枝する尾状花序で,新枝の基部に出る。雌花は新枝の先端に短い花序をなす。雌花の外面は薄緑色で毛があり,上部には,三角状の小苞,花被片よりなる4突起に囲まれて,濃赤色のめしべがある。果実はほぼ球形で,4本の縦のくびれがあり,熟すとこの線に沿って割れ,核を出す。核は楕円形で,殻は厚く堅く,下端はとがり,上端には花柱の痕跡を残す。内部は不完全な仕切りがあり,下部は4室,上部は2室となる。1種子があり,胚乳はなく,子葉が複雑に折りたたまれている。アメリカ合衆国東部に産する。材は強靱で,とくに曲げや衝撃に対する抵抗が強く,加工も容易で重要な環孔材である。運動具,器具(ハンマーや斧など衝撃具の柄),車両,家具,建築などに重用される。種子は甘く,脂肪に富み,ナッツとして市販される。同属のペカンは核の殻が薄く,種子も大きく,より重要なナッツである。
カリア属Carya(英名hickory)は北アメリカ大陸に約20種が産するほか,中国に1種が隔離分布する。クルミ属に似ているが,果実の外皮が規則的に割れて核を出し,雄花序が分枝するなど,かなり異なった形態をもつ群である。
執筆者:岡本 素治
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クルミ科(APG分類:クルミ科)カリア属Caryaに含まれる樹木の一般名。ペカンをはじめ数種からなる。おもな種の原生地は北アメリカで、中国にも分布する。材はスキー、家具その他に使われ、殻果はナッツとして利用される。
[飯塚宗夫 2020年2月17日]
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