ヒトニザル(読み)ひとにざる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒトニザル」の意味・わかりやすい解説

ヒトニザル
ひとにざる

哺乳(ほにゅう)綱霊長目ヒトニザル上科(ヒト上科ともいう)に属する動物の総称。この上科Hominoideaの仲間は、霊長目中、かつ全動物界中もっとも進化を遂げた系統群ということになる。現生種はヒト科Hominidaeとショウジョウ科Pongidaeからなり、テナガザルを8種とすれば、ヒトを含めて13種からなる。総じてよく発達した脳をもち、尾を欠く。歯式は

で32本、オナガザル上科と同じである。化石として、オレオピテクスOreopithecus、ドリオピテクスDryopithecus、ギガントピテクスGigantopithecus、アウストラロピテクスAustralopithecusなどが知られており、これらも本上科に含まれる。ヒトニザルの祖型は、第三紀漸新世のエジプトファイユームから出土する霊長類化石群のなかに知られており、すでにこの時代にオナガザル上科とは分岐していたと考えられている。ヒトニザルは、ヒトの進化を考えるうえでとりわけ重要な系統群であるといわなければならない。

伊谷純一郎


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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