ビブリア・パウペルム(英語表記)Biblia Pauperum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビブリア・パウペルム」の意味・わかりやすい解説

ビブリア・パウペルム
Biblia Pauperum

「貧しき者の聖書」の意で,13世紀前半におそらく南ドイツ地方で作られ,14~15世紀にかけて数多くの挿絵入り写本が作られた一種の釈義的聖書。その特色は,30あまりのイエス生涯の主たる場面の周囲に,それの予表となった旧約聖書の場面,預言者像などを配置した,いわゆる類型論 Typology的図像にある。挿絵は彩色に乏しいが,素朴な美しさに富んでいる。通説にこれを文盲者のために作られたものとするが,確かではなく,むしろ「貧しき者」を標榜した特殊な信仰運動に関連させる説がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

五節舞

日本の上代芸能の一つ。宮廷で舞われる女舞。大歌 (おおうた) の一つの五節歌曲を伴奏に舞われる。天武天皇が神女の歌舞をみて作ったと伝えられるが,元来は農耕に関係する田舞に発するといわれる。五節の意味は...

五節舞の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android