日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ビュヒナー(Ludwig Büchner)
びゅひなー
Ludwig Büchner
(1824―1899)
ドイツの医師、哲学者。劇作家ゲオルク・ビュヒナーの弟。科学的唯物論の立場から多数の科学啓蒙(けいもう)書を著し、とくに主著『力と物質』Kraft und Stoff(1855)は唯物論のバイブルと目されて各国語に翻訳された。科学の基礎をエネルギー保存則に求め、それに進化論を取り入れた物質一元論の自然観にたつ。実在の本質規定は物理的な力にあり、その力の相互作用を表す自然法則は、人間の行為をも含めていっさいの現象を支配する、と説く。したがって、精神や生命の独自性を否定し、倫理学においても強い決定論の立場をとった。
[野家啓一 2015年3月19日]
[参照項目] |
|