日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピウス(2世)」の意味・わかりやすい解説
ピウス(2世)
ぴうす
Pius Ⅱ
(1405―1464)
ローマ教皇(在位1458~1464)。前名エネ・シルビオ・デ・ピッコロミニEnea Silvio de' Piccolominiといい、シエナの出身。諸教皇中もっとも優れた人文学者で、回想録をはじめ、歴史、地理、教育に関するおびただしい著作がある。長い間公会議至上主義者であったが、1460年教皇として教書「エクセクラビリス」Execrabilisを発布して教皇の至上権を認めた。1458年マントバに会議を招集し、西ヨーロッパ全体に対し、反トルコ十字軍の結成を呼びかけたが失敗した。だが、その文学的香りの高い訴えは後世に残った。ルネサンス教皇の一人として文化的業績のみが高く評価されるが、西欧キリスト教世界の統一こそが彼の終生の理想であった。
[磯見辰典 2017年12月12日]
『H・テュヒレ他著、上智大学中世思想研究所編訳『キリスト教史 第4巻』新装版(1991・講談社/改訂版・平凡社ライブラリー)』▽『鈴木宣明著『ローマ教皇史』(教育社歴史新書)』