ピンク・パンサー(読み)ぴんくぱんさー(英語表記)The Pink Panther

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピンク・パンサー」の意味・わかりやすい解説

ピンク・パンサー
ぴんくぱんさー
The Pink Panther

アメリカのアニメーション映画のキャラクター。ブレークエドワーズ監督、ピーター・セラーズ主演の喜劇映画『ピンクの豹(ひょう)』(1963)がそもそもの発端で、この題名は紳士怪盗にねらわれる宝石の名であるが、そのタイトル部分で、漫画の豹がテーマ曲にのって優雅なずっこけを演じた。これが好評のため、担当したフリッツ・フリーレングが短編アニメーション「ピンク・パンサー」シリーズ(1964~69)をつくり、『いじわるヒョウ・ペンキ屋の巻』(1964)でアカデミー短編賞受賞。1970年代、このシリーズのテレビ放映をきっかけに、エドワーズとセラーズのコンビが劇映画の続編『ピンク・パンサー2』(1974)、『ピンク・パンサー3』(1976)、『ピンク・パンサー4』(1978)と連作真顔でどたばたを演じるクルーゾー警部役のセラーズが人気をよんだ。『ピンク・パンサー3』以後は、パンサーは宝石とは関係なく、アニメーション・タイトルでクルーゾーを翻弄(ほんろう)するイメージ・キャラクターとなっている。

[森 卓也]

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世界大百科事典(旧版)内のピンク・パンサーの言及

【イギリス映画】より


[イギリス喜劇の系譜]
 〈イーリング〉調のイギリス喜劇は,その後もコーネリアス監督《嵐の中の青春》(1955)やギリアット監督《完全なる良人》(1955)を経てディアデン監督《紳士同盟》(1960),K.アナキン監督《謎の要人悠々逃亡!》(1961)あたりまで続くが,〈イーリング・コメディ〉の消滅とともにアレック・ギネスがハリウッドに去った後,その多種多様な扮装で役になりきる芸風を継いでピーター・セラーズが登場してくる。《マダムと泥棒》では実際アレック・ギネスの子分の一人を演じていたが,1960年代に入ると彼自身もハリウッドに招かれ,B.エドワーズ監督の《ピンクの豹》(1963)とその後の〈ピンク・パンサー〉シリーズの変装マニアのクルーゾー警部や,S.キューブリック監督《博士の異常な愛情》(1964)の一人三役という強烈な〈くさみ〉のある演技で世界的なコメディアンとなった。 セラーズが1950年代に主演していたテレビの人気ドタバタ喜劇番組《馬鹿者群像》のディレクターの一人だったのがR.レスターで,セラーズと共同で製作・監督した実験的短編ギャグ映画《とんだりはねたりとまったり》(1960)がアカデミー賞にノミネートされ,劇場用長編映画に進出した。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」