フィリピン近代美術(読み)フィリピンきんだいびじゅつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィリピン近代美術」の意味・わかりやすい解説

フィリピン近代美術
フィリピンきんだいびじゅつ

スペインによる植民地支配の時代の 1820年,マニラに最初の絵画学校がつくられ,油絵技法が導入されて以来,フィリピンの美術はスペイン絵画の影響下に展開してきた。この傾向に変化が生れたのは,独立後の 1950年代である。欧米美術が紹介され,とりわけアメリカとドイツの動向が大きな影響をもった。 50年代から 60年代にかけては,国際的動向との一体化を目指した時期ということができる。やがて 70年代の社会的,経済的危機に対応してフィリピン美術に第2の変化が生じた。インスタレーションや環境芸術,概念芸術といった絵画や彫刻の枠を破った作品が輩出し,美術と社会の統合が叫ばれ,同時にフィリピン美術の独自性探求の意識が高まった。こうした探求は美術作品に呪術性,儀式性を与えることになり,それが今日のフィリピン美術の特色をなしている。代表的美術家として N.V.アブエバ,A.キウコク,L.アギナルド,エドアルド・カストリヨ,A.コシオ,R.G.オラゾらがあげられる。

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