フウセンモ(読み)ふうせんも

改訂新版 世界大百科事典 「フウセンモ」の意味・わかりやすい解説

フウセンモ (風船藻)
Botrydium granulatum (L.) Grev.

水田や畑の湿った土の上に降雨の後などに群生する直径1mm内外の緑色の囊状の藻類。黄緑藻綱フウセンモ科に所属する。球形の囊状部の下部から分枝する仮根地中にのび,これで体を固着させる。生殖には同型または異型配偶子による有性生殖と,遊走子または不動胞子の形成による無性生殖が知られる。配偶子,遊走子ともにセイヨウナシ形で,前端近くに長短2本の鞭毛をもって泳ぐ。体が緑色であるので,一見緑藻類を思わせるが,鞭毛の1本が羽形構造であること,光合成色素にクロロフィルbがないこと,貯蔵物質がデンプンでなく油であることなどから黄緑藻綱に分類される。近縁の種エダウチフウセンモB.divisum Iyengarは,囊状部が棍棒状であること,基部近くで分岐することで区別される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フウセンモ」の意味・わかりやすい解説

フウセンモ
ふうせんも / 風船藻
[学] Botrydium granulatum (L.) Grev.

黄色植物、黄緑藻類フウセンモ属の1種。直径1ミリほどの風船形をした多核の土壌藻で、下部にある仮根で湿土上に群生する。冬から春にかけて発生するが、生育期間は短い。

小林 弘]

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